かきかたプリントメーカー

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「かきかたプリントメーカー」作者・ごうだまりぽです。文字を使った楽しい遊びを紹介していますが、今回は、「文字」に慣れてきたお子様がチャレンジできる「暗号ごっこ」や「密書ごっこ」を紹介します。これらの遊びの中には、歴史上実際に使われた暗号技術にに基づいたものもあります。ちょっと知的な遊びにチャレンジしてみてください。

1. 密書ごっこ: お手紙と工作を組み合わせて忍者気分!

普通の手紙も、工作と組み合わせるだけで密書になります。忍者ごっこの小道具にもぴったりです。

1.1 何もない紙に文字が浮かび上がる!

まず最初に紹介するのは、何もない紙に文字が浮かび上がる不思議な手紙。

レモン汁を使ったあぶり出しのテクニックはどこかで見たことがあるでしょう。レモン汁を使って紙にメッセージを書き、乾燥させます。一見ただの白い紙ですが、火にかざすと文字が浮かび上がります。

本物のあぶり出しは火を使うのでちょっと危険です。火に近づけすぎると燃えます。また、最近のコンロは安全装置がついていて、鍋を乗せておかないと安全装置が働いて切れてしまったりします。

けれど、代わりにクレヨンと絵の具を使って「なんちゃってあぶり出し」を楽しめば簡単。まず、白いクレヨンで紙に文字を書きます。思ったとおりに書けない場合は、いったん黒い太いペンで文字を書いた後、上に薄手の紙を重ねて透かして見ながら白いクレヨンでなぞればOK。

手紙を受け取った相手は、紙に水彩絵の具を塗ると、クレヨンが絵の具を弾き、隠されたメッセージが浮かび上がります。クレヨンの絵の上に絵の具を塗る「はじき絵」の要領ですね。好きな色の絵の具を使えば仕上がりもとっても綺麗です。

1.2 ふしぎなリボンで秘密の手紙!?

次に紹介するのは、古代ギリシャ時代に由来する「スキタレ」という手紙。でたらめな文字の並んだリボンに見えますが、棒に巻きつけて縦に読むとメッセージが読めるのです!

作り方は簡単。まずは、長〜い紙のリボンを用意し、棒に巻きつけます。そして、巻き付けたまま縦方向にメッセージを書きます。リボンを棒から外すと文字がでたらめに並んでいるように見えますが、同じ太さのの棒に巻きつけると、メッセージが読めるようになります。

かきかたプリントメーカーのおまけコーナーにも「スキタレ」体験キットがあります。印刷してやってみてね!

1.3 こんなところにお手紙が!? 笠の緒文

メッセージの書かれた紙を何か別の物に組み込み、手紙であることが外からバレないようにするという方法もあります。

関ヶ原の戦いのちょっと前のお話。武将・山内一豊に、妻・見性院が秘密の手紙を届けさせたというエピソードがあります。なんと、文書を「こより」状にして使者の被っている笠の紐に偽装したというもので、笠の緒文と呼ばれています。傍から見たら手紙には見えません。

実際に試してみるのは簡単。柔らかい紙に手紙を書いたら、紙をねじって「こより」を作ります。そして、そのこよりを何か別の物に組み込みます。

キーホルダーの紐に偽装したり、七夕の短冊を吊るす紐に秘密の願い事を書いたり、紙の「綴じ紐」に本当のメッセージを仕込んだり……色々工夫してみましょう。

2. 簡単な暗号

次に扱うのは本物の暗号。実際に使われてきた暗号の中には、実は子供たちでも楽しめる簡単なものもあります。このセクションでは、幼児でも楽しめるようなシンプルで面白い暗号の種類を紹介します。

2.1 シーザー暗号

シーザー暗号は、古代ローマのユリウス・カエサル (英語読みだとジュリアス・シーザー) が使っていたとされる暗号です。この暗号の仕組みはとってもシンプルで、文字を一定の数だけずらして置き換えるだけ。当時使われていたのはラテン語のアルファベットですが、ひらがなでも応用できます。 たとえば、「あいう」を3文字ずらすと「えおか」になります。アルファベットの場合は、「ABC」を3文字ずらすと「DEF」となります。ずらす文字数が大きくなるほど難易度が上がるので、最初は1文字だけずらしてやってみましょう。

何文字ずらしたのかがわかってしまえば速攻で解読できるので暗号としての実用性はイマイチです。けれど、子供たちがあいうえお表やアルファベットを学ぶためのネタにはぴったり。同時にごく簡単な暗号化・復号化を理解するのに適しています。

2.3 書籍暗号

書籍暗号 (ブックサイファー) は、特定の本を使ってメッセージを暗号化する方法です。まず、一冊、暗号に使う本を決めます。国語の教科書でも、お気に入りの絵本でも、なんでもOK。

表現したい文字が登場するページ数や行番号を伝えます。英語の本の場合は単語の番号を使ったり、何行目の「何文字目」まで指定したりと、やり方はさまざまですが、数字の組み合わせで文字を指すことができればOKです。

たとえば、本の10ページ目・2行目が「おじいさんとおばあさんが」だったとしたら、「10・2・4」は「10ページ目・2行目・4文字目」の「さ」の字になります。これを「10・2・4 12・1・7 14・4・1」のように並べるのです。受け取った人は、該当するページから該当する箇所にある文字を見つければ解読できます。

書籍暗号 (ブックサイファー) は、歴史上、実際に諜報活動などに使われていました。ありふれた普通の本ならスパイグッズに見えず怪しまれにくいという利点もあったようです。

3. 遊びながら学ぶ情報工学

暗号だけでなく、実際の情報工学に関連する技術を通じて、子供たちが楽しみながら学ぶことができます。これは厳密には部外者からの解読を困難にする「暗号」ではありませんが、解読する楽しみを味わうことができます。パズルを解くような気分で解読しながら、情報工学に親しむことができます。

3.1 モールス符号

モールス符号は、点(「・」)と線(「-」)の組み合わせで文字を表します。子供たちは、モールス符号を使って簡単なメッセージを送ることができます。道具は、「短い信号」と「長い信号」を作り出すことができるものならなんでもOK!

  • 懐中電灯の点滅 : 定番です。スイッチを素早くオンオフすればOK。
  • ライトを手で遮る : 素早く明滅させることのできないライトでも、手で光をさえぎればオフ、そのままならオンになります。
  • 楽器 : 長い音と短い音の区別できる楽器ならなんでもOKです。ピアノやリコーダーはもちろん、おもちゃの楽器も役に立ちます。
  • 物を並べる
  • 口 : 口笛を吹いたり、普通に「ぴぴぴー」「ぷぷーぷー」などと声で伝えればOKです。
  • 書く : 紙に点と線を書いてみましょう。
  • モールス電鍵 : 本物と同じメカニズムで動くおもちゃも売られています。

子供の大好きなサバイバル物のお話では、モールス信号で救援を呼ぶシーンは定番。本当にピンチになった時の備えにもなるので、覚えておいて損はありません。

3.2 バイナリとアスキー

私たちの周りに溢れるデジタルの世界は、実は「0」と「1」、この二つの数字だけで成り立っています。スマホでやりとりしているメッセージも、ゲームの世界のキャラクターも、そして画面に表示されている文章も、みーんな0と1の集まりなのです。このシンプルな数字の組み合わせは「バイナリ」と呼ばれる、コンピュータが理解する言語の基礎です。そして、このバイナリコードを使って文字を表現するためのルールのひとつが「アスキーコード」です。

アスキーコードでは、アルファベットの「A」から「Z」、数字の「0」から「9」、さらにはスペースや句読点など、私たちが普段使っている文字や記号を、0と1の組み合わせで表します。例えば、大文字の「A」は「01000001」という形で表されます。ちなみに、日本語に使う文字はもっと別の文字コードで表しますが、その話は長くなるのでまたの機会に。

こちらのバイナリ表と照らし合わせれば、0と1でアルファベットや数字を書いたり、逆に解読したりすることができます。

例えば、「A」は「01000001」と表されます。この方法を使って、自分の名前や短いメッセージをバイナリで書いてみましょう。コンピュータの仕組みを学ぶ第一歩となります。

おわりに

ここまで、文字を使った遊びを幾つかご紹介しました。「かきかたプリントメーカー」では、こうした遊びを通じて子供たちの創造力や論理的思考能力を育むことを目指しています。暗号ごっこや密書ごっこは、遊びを通じて創意工夫や論理的思考を身につける絶好の機会です。家族で一緒に楽しんでみてください。

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